本当に欲しいものを、どれだけ人は自分に与えられるのか・・・リーディング時代小説「茶々ってば」⑨:神戸御影ヒーリングサロン 心星 POLARIS(ポラリス)

本当に欲しいものを、どれだけ人は自分に与えられるのか・・・リーディング時代小説「茶々ってば」⑨

2018.05.10

 

 

生きて生きて、生き延びてきたのは、彼のためにだけ・・・リーディング時代小説「茶々ってば」①

 

わたしは愛されている、という自信がない・・・リーディング時代小説「茶々ってば」②

 

傷つくのが怖い、心を閉じていれば何も傷つくことはない・・・リーディング時代小説「茶々ってば」③

 

秀吉は、わたしが初めて身体を開いた男だった・・・リーディング時代小説「茶々ってば」④

 

欠けていたパズルのピースが、見つかった・・・・・・リーディング時代小説「茶々ってば」⑤

 

快感のあるフリが、男が喜ぶと女はみな知っている・・・リーディング時代小説「茶々ってば」⑥

 

女は子種がどの男のものであるかは、わかります・・・リーディング時代小説「茶々ってば」⑦

 

女は楽器、それを奏でる男で音色は変わる・・・リーディング時代小説「茶々ってば」⑧

 

 

それからわたしは、病気を理由に秀吉としばらく距離を置いた。

治長はなに事もなかったように、それらもわたしに仕えていた。

 

時折、あの夜の深い大きな波を思い出すたび子宮がキュン、とうずいた。

その快感を与える相手が、すぐそばにいる。

何度、治長を呼び出そうと思った事だろう。

 

それは、ダイエットのため、すぐそばに美味しいお菓子があるけど、手を出さない意志を試されるのに似ている。

 

快感が欲しいだけで治長を呼び出すのは、ただの女だ。

 

わたしはそのような女ではない。

わたしが望むのは一時の快楽ではなく、崩されることのない地位と権力だ。

 

目をつむると、北ノ庄城が赤く染まり、燃えていく姿が見えた。

父を残し、小谷城をお腹の大きな母や初と出て行く姿が見えた。

 

どちらも城を攻めたのは、秀吉だ。

 

彼に対して、憎い、という気持ちはとうに超えた。

戦国の世、秀吉でなければ他のものが父や母を滅ぼしていただろう。

 

「もし~だったら」

「世が世なら・・・」

という言葉は、通じない。

 

弱かったから、負けたのだ。

強いものが、勝つ。

 

ならば、わたしは強くなればいい。

女として揺るぎない最高の地位と権力を手に入れればいい。

 

今天下を治めている秀吉が、一番欲しがっているものを与えればいい。

それが、自分の子供だ。

 

わたしの子供が秀吉の子供。

 

乳母の大蔵卿局は言った。

 

「茶々様、どのような子種を受け取ったとしても、お生まれになったお子は、茶々様のお子です。

秀吉様のお子が、茶々様のお子ではございません。

茶々様のお子が、秀吉様のお子です。」

 

そうだ、だからわたしは治長から秀吉の子どもになる子種を受け取った。

わたしのお腹の中で育ち、月満ちて産む子が、秀吉の子になるだけだ。

 

治長は、もうそこに介入していない。

彼に未練など持ってはいけない。

 

そうだ、早く治長を結婚させよう。

万が一、わたしが欲しても妻がいることで、わたしを拒めばいい。

彼がわたしに逆らうことなどないことを知りながら、強気で思った。

 

どのような女が治長の愛撫を受け、あのような快感を得るのか、考えただけで歯ぎしりしたくなる。

この黒い欲望は、封印せねばならない。

愛ではない、ただの欲望。

そんなものは、庶民の女が持てばいい。

 

わたしが求め、焦れるのは、揺るぎない権力と地位。

 

いつしか、自分に言い聞かせるようつぶやいていた。

 

 

 

そして医師により、待望の妊娠が確定した。

 

 

わたしはようやく秀吉に求めに応じた。

 

「体調はどうじゃ。

どうして、わしに会わなんだ。」

 

秀吉は不服そうだった。

 

 

そんな秀吉にお腹を撫でながら、言った。

 

「お子が・・・」

 

「えっ?」

 

「お子ができました。」

 

「なんと!!」

 

 

「あなた様のお子です。

身ごもりました。」

 

そばにいた大蔵卿局や治長達が一斉に声を上げた。

「おめでとうございます!!」

 

秀吉は、しばらく何も言わなかった。

一瞬、自分の子ではないことに気づいたのか、と思った。

でも、そうではなかった。

 

彼はじっと喜びを噛みしめていた。

そして、一転爆発させた。

 

「茶々!ようやった!!

褒美を与える。

そなたに山城淀城を与える!!

 

これで、豊臣の跡継ぎができた!

ようやった、ようやった茶々!!」

 

みなの面前で、わたしは抱きすくめられた。

その腕に抱かれ微笑みながら、さっと治長に目を走らせた。

彼は痛みをこらえるような顔で、笑みを浮かべていた。

それでよい

それでよいのだ。

治長。

 

わたしと同じ痛みを共に持てるのは、お前だけだ。

墓場まで持っていく秘密を生涯抱える思いに同調できるのも、お前だけだ。

 

わたしに罪の意識などまったくない、と言えば嘘になる。

 

だが、欲しいと望んで手に入らぬものを、ちがう形で与えるのは罪だろうか?

秀吉が、母上に憧れ手に入れたい、と望みながら手に入れられず、代わりにわたしを手に入れた。

それと同じことではないのか?

 

 

そうやって、本当に欲しいものを、どれだけ人は自分に与えられるのか?

みな、途中であきらめてしまう。

わたしは、あきらめない。

本当に欲しいものは、どんな手段を使ってでも手に入れる。

 

 

そう思いながら、喜びの美酒に酔い、赤い顔になった秀吉の満面の笑みに身体をゆだねた。

 

言葉通り、わたしは城を授けられた。

女でありながら、城持ちになった。

 

つわりを超え体調が落ち着き、与えられた京都の山城淀城に移った。

大蔵卿局や治長達もみなついてきた。

秀吉からは、毎日のようにわたしの体調を気にする手紙が来た。

 

わたしの天下への道は、この城から始まる。

この城で、わたしは無事出産をするのだ。

 

 

この城にちなみ、わたしは世間から「淀の方」と呼ばれるようになった。

 

 

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あなたが本当に欲しいものとは、何でしょう?

 

その望みに目をそらさず、向き合ってみましょう。

 

まだ~だから

わたしなんて・・・

 

と自分でジャッジするのは止めましょう。

 

純粋に望むものが分かった時、あなたの目の前に広がる道はクリアーになります。

 

 

 

したたかに生きる

 

美開女(Be.Akujo)への二歩目。

 

 

 

 

 

 

 

 



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