お金はあるから、愛おしい我が子のために使えばいい・・・リーディング時代小説「茶々ってば」⑬:神戸御影ヒーリングサロン 心星 POLARIS(ポラリス)

お金はあるから、愛おしい我が子のために使えばいい・・・リーディング時代小説「茶々ってば」⑬

2018.05.14

 

 

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鶴丸は、高い熱を出して寝込んだ。

真っ赤な顔をして苦しそうにうめく我が子を見て

「代われるものなら、わが身と変わってやりたい!」

と思うのは、母親として当然のことだろう。

それもできず、苦しそうな鶴丸の手を握り祈るしかなかった。

 

「毒は・・・毒は盛られていなかったのか?

大阪城で、何か変わったことはなかったのか?」

 

大蔵卿局がわたしの代わりに、鶴丸の乳母や大阪城に残っていた者たちに聞いて回った。

寧々が鶴丸を大切にしていた、という話しか出なかったそうだ。

だが、大切にしていたなら、どうして鶴丸が病になるのだ?!

 

寧々は、豊臣の跡継ぎとして大切に扱っていたかもしれない。

だが、我が子を愛しむように大切にしていたわけではなかろう。

我が身に変えてまで、我が子の苦しみを救い取りたい母の気持ちがわかるのか?!

熱にうなされる鶴丸を見ながら、わたしはもう二度と鶴丸のそばを離れないことを誓った。

 

鶴丸が病に伏せったことを知った秀吉は、奈良の興福寺に数多くの供え物を贈り、春日神社で鶴丸平癒の祈祷をさせた。

それを聞いたわたしも、ろくに眠らず、食事もとらず、鶴丸のそばにいて祈り続けた。

 

天に祈りが届いたのか、鶴丸の熱は下がり病気を脱した。

共に病を戦ったわたしも、げっそりと頬がこけていたが、我が子の無事に涙を流しながら神に感謝をささげた。

 

わたしはわかった。

鶴丸が豊臣の跡取りであろうとなかろうと、わたしにとって何よりも大切だと。

我が身に変えてもいい愛おしい存在だと。

この度の病は、それを教えてくれたことに気づいた。

 

 

鶴丸が回復してしばらくし、小田原征伐は終わった。

秀吉は、聚楽第にわたし達を呼んだ。

秀吉も鶴丸を抱きしめ

 

「おお、おお、よくがんばった。

よく元気になった。

わしも、お前のためにがんばったぞ。

共に戦ったのう。」

と、うれしそうに言い聞かせていた。

 

そんな秀吉の姿を見ながら、わたしも胸が熱くなった。

鶴丸が我らに、親子の縁を結んでくれた。

我らは、鶴丸を挟んで父と母にさせてもらったのだ。

治長の存在をすっかり亡き者として、幸せな親子がそこにいた。

 

そして、それを冷静に見つめる寧々のまなざしにも気づいた。

 

「鶴丸君はすっかり快復し、元気になって本当によかったです。

豊臣の跡継ぎですから、気をつけなければ。」

 

という寧々に対し、わたしは言った。

 

「鶴丸が、豊臣の跡継ぎであろうとなかろうと、わたしにとっては愛おしい我が子です。

我が子が元気で大切にいることが、母であるわたしの喜びで生きがいです。

ですから、もう秀吉様がどう命じてもわたしは鶴丸のそばを離れません。

母と言うものは、そういうものです。」

 

「淀殿、秀吉の妻はわたくしです。

ですから、秀吉の子は、わたしくの子でもあります。」

 

「鶴丸はわたくしの子です。

わたくしと秀吉様の子です。

 

鶴丸が病の間、わたしも秀吉様も鶴丸と共に戦いました。

北政所様は、そうではなかったですよね?

 

でも、それでよいのです。

 

北政所様のお子では、ございませんから。」

 

寧々が、そっと眉をひそめた。

わたしは言いたいことを言って、その場から離れた。

 

母の愛を思い知るがいい。

お前には一生、体験できぬことだ。

 

その後、わたしと鶴丸は淀城に戻った。

秀吉は多忙のため、なかなか顔を出せなかった。

何通もの手紙が、わたしと鶴丸に届いた。

わたしはそれを、鶴丸に読み聞かせ

「父上は、あなたのためにがんばっているのですよ。」

と伝えた。

 

何もわからない鶴丸は、目をぱっちり見開き、ただただ無心に笑っていた。

その笑顔が、何よりも可愛く愛おしかった。

淀城で、わたしと鶴丸の蜜月が過ぎて行った。

 

年が明けた天正19年、鶴丸はまた熱を出して寝込んだ。

秀吉は、今度は日本国中の神社仏閣に鶴丸平癒の祈祷をさせた。

そして前回、鶴丸が元気になったことを受け、春日神社に300石の寄進をし祈祷を乞うた。

 

 

大蔵卿局から、男の子は弱いと聞いていたが、これほどと思わなかった。

男は女を守る存在だから、強いはずではないか?

わたしは焦った。

乳母や侍女や家来たちに、さらに鶴丸を守るよう伝えた。

少しでも咳をしたら、すぐに服を着せ、すべての闇から鶴丸を守ることだけに心を傾けた。

 

その甲斐あって、鶴丸は回復した。

が、夏にまた病になった。

 

秀吉はまた全国の神社仏閣に祈祷をさせ、金に糸目をつけず春日神社に莫大な寄進をして鶴丸の平癒祈願を乞うた。

 

世間は

「金で我が子の命を買おうとしている。」

と陰口をたたいたが、親と言うものはそういうものだ。

 

だって、お金はあるのだ。

あるから、愛おしい我が子のために使えばいいのだ。

そのためのお金であろう?

 

秀吉は、国中から名医と呼ばれる医者たちも集めた。

そして、家来たちにも鶴丸の平癒祈願をさせた。

わたしでさえ、寧々に鶴丸が元気になるようお願いする手紙を書いて頼んだ。

愛おしい我が子のために、意地もプライドも恥もなかった。

 

我が子が無事元気になるなら、何でもしよう。

だから、どうぞ、鶴丸の命をお助け下さい。

 

真夜中に水をかぶり、震えながら鶴丸の病平癒を祈った。

病に苦しむ我が子の身代わりになれぬわたしにできるのは、それくらいだった。

秀吉も、東福寺でずっと鶴丸の病平癒を祈っていた。

 

が、今回わたし達の愛は天に届かなかった。

 

病から3日後、鶴丸はこの世を去った。

 

数え年で3つだった。

 

 

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あなたが今持っているお金、貯金

 

何に使うためですか?

 

誰のためのお金ですか?

 

 

将来の不安のために置いているお金は、不安しか呼びません。

 

あなたは何のために、お金を貯めていますか?

 

 

 

したたかに生きる

 

美開女(Be.Akujo)への二歩目。

 

 

 

 

 

 

 

 



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